おやつカルパス

さくぶんれんしゅう帳

歳の数くらいの回数同じ映画を観た話

映画館で映画を観るのが好きだ。

 

大画面と大音響、真っ暗な中で映像と物語に浸る2時間が好きだ。

特に、ストーリーがシンプルで音楽と映像が派手だったり美しかったりする作品は、映画館で観るに限る。

 

そんな私が2019年の夏にどっぷりハマった作品が、「プロメア」だ。ちょうど今日で公開1周年なので、プロメアの思い出を書こうと思う。

 

 

 

もともとこの年の春頃から映画館に行くたびに予告編を見ていた。その時には、タレントキャストだし、「君の名は」のロボ映画版みたいなもんかなあ。色使いが面白くて音楽はかっこいいから観てみたら面白いかもしれないけど、たぶん観ずに終わるだろうなあ、ロボット興味ないし。そんなことよりアラジンが観たい。くらいに思っていた。

 

そして5月24日、プロメアが公開された。

しばらくすると、じわじわと、タイムラインでプロメアの話題を見ることが多くなった。わたしは基本的にヒロアカ等の漫画作品のファンしかフォローしていないので、一つの映画の話題が継続的にタイムラインに現れることは稀だ。そんなに面白いんだろうか。ちょっと気になるな。そう思っていたある日、仕事の量が比較的少なくて、早く退勤できた日があった。しかも水曜日だ。レディースデーだ。そういう日は、わたしは、退勤時に最寄りの映画館の上映情報を調べて、気になる作品がいい時間に上映していれば鑑賞することにしている。この日はちょうど、退勤して映画館に到着して20分後くらいにプロメアが上映されることになっていた。ちょっと気になってたし、今日はこの映画を観て帰ろう。そんな軽い気持ちで映画館に向かった。早く帰れたと言っても仕事のあとだから疲れたな〜、そう言えばタイムラインにはよくプロメアの話題が出てくるけど、知らないジャンルの話は斜め読みしかしないからよく知らないな〜、サカイマサトが変なビームを撃つことと、腐女子さんたちが盛り上がってることしか知らないな〜、グレンラガンキルラキルも観てないけど、別に話が繋がってるワケじゃないからプロメアだけ観ても大丈夫ってのは確認したからたぶん大丈夫だろ!! くらいに思いながら劇場に入った。

 

 

衝撃の2時間だった。

 

 

最初のサラリーマンが炎を吐くシーンでもう持っていかれた。あとから思えば、毎日色んなことを我慢して働いていて疲れていて、通勤電車の中で全てを燃やし尽くした彼みたいに会社を燃やしたいと思ったのかもしれない。(後に通い詰めた応炎上映ではあのシーンでよく「燃やせー!!」って言ってた。物騒でごめん)

そして序盤の目が追いつかないほどの戦闘シーン。チカチカする色彩の炎と、次々変化する音楽。物語を追う暇もないほど映像に圧倒された。「アッ、話追わなきゃ、ちゃんと台詞聞かなきゃ」と思った時にはもうリオ・フォーティアは捕まっていた。(それでもストーリーが理解るのがプロメアの良いところ)

そうやって戦闘シーンになる度に目をチカチカさせながら瞬きもせずに観て、正直初回の鑑賞では何が起こってるのかはっきりわからないまま物語が進んだ。リオ・フォーティアが神様だということだけはわかった。(個人の解釈です)

 

本編が終わった時にはぐったりと疲れていた。「あ……終わった……」と呆然としながらエンディングの「氷に閉じ込めて」を聴いた。こんな、ピアノのポロポロきらきらした曲で終わるんだ……とぼんやりと思った。君がいなくなると灰になるのかあ……。

 

あんなに疲れた映画体験は、後にも先にもプロメアしかない。

映画館を出ると寒くもないのにブルブル震えていて、2時間交感神経が働きっぱなしだったため頭も痛かった。いつものように流れるタイムラインを別世界の出来事のように感じながら、「プロメアやばい」と呟いた。(なにかあるとすぐツイートするタイプのおたく)

めちゃくちゃ疲れたのに、もう2回目を観たかった。あの世界に少しでも長く浸りたかった。あのエネルギーの片鱗でも吸いたかった。

その気持ちに気がついたらいてもたってもいられなくなって、駐車場に向かいかけたところを引き返して、もう一度映画館に向かった。サントラが欲しかった。結局映画館の売店では売り切れだったが、同じ建物の中のCDショップで無事に手に入れた。完全に衝動買いだった。

車に戻ってエンジンをかけて、早速カーステレオにサントラCDをぶちこんで聴きながら帰ることにした。映画の余韻で脳みそがびりびりしたまま、注意力とか集中力がボロボロだから事故ったら怖いな……と思いながら運転して帰った。

 

これが私の、プロメア初回鑑賞の思い出だ。

 

 

実は、プロメア以前にも、アニメを鑑賞したあと同じような状態(感動とか興奮で震えて自律神経がめちゃくちゃになる)になったことがある。

プロメアの丁度1年ほど前、映画館でヒロアカのアニメを地上波放送と同時に上映するイベントに行ったときだ。物語の中での大きなクライマックス、ナンバーワンヒーローオールマイトが敵のボスと対決するエピソードだった。

 

 

漫画で読んだときから、映画で観たいと思っていたバトルだ。本当に凄かったし、あの話を映画館で観れたのはヒロアカのファンとして、ずっと大事にしていきたい思い出だ。キャストさんのトークショーのパートもあって、オールマイト役の三宅さんの生の声で「更に向こうへ!」の決め台詞を聴けたのも本当に感動した。

でも、そのときの感動が余りにも大きすぎて、この先あれ以上に心が震えるような体験ってなかなかできないんじゃないのかな、と心のどこかで絶望していた。

 

その絶望を打ち壊してくれたのがプロメアだった。

大袈裟かもしれないけど、当たり前かもしれないけど、「この世には私が知らない、こんなにも面白いものがあるんだ!」という発見で、希望だった。これからも生きていたら、こんな風に面白い! って思えることに出会えるかもしれないと思うと元気が出た。

 

お分かりかもしれませんがこれはオタクのクソデカクソ重感情です。

いつかどこかで正直に書こうと思っていたけど重すぎて自分でもちょっと引いた。ヒロアカに対してもプロメアに対しても重い。

 

 

ともあれ、そうやってプロメアに救われた(クソ重)私は、狂ったように映画館に通い始めた。なにしろ、初回は映像と音楽の洪水で何が起きているのかイマイチ分からなかったのだ。2回目もよくわからなかった。ちゃんと理解し始めたのが3回目くらい。その後も、ちょっとでも「観たい!」と思えば仕事終わりに映画館に行っていた。仕事の後に映画を観ると夜帰るのが遅くなるし、そうそう都合よく仕事が片付くわけでもないから次の日の私は寝不足だし前日の仕事が残っているしでとにかくしんどい。それでも、「観たい」という衝動に抗えなかった。プロメア、よく「浴びる合法シャブ」とか形容されるけど、まさにそんな感じ。絶望から救ってくれた神様だからお布施しなきゃいけないし……とまるで宗教にハマったかのような言い訳をして映画館に通っていた。

 

その後応炎上映なる文化が発生し、私はペンライトを衝動買いしたり、映画を観るためだけに新幹線に乗ったり、4日連続で同じ映画を観て知り合いができたりして、結局この記事のタイトルの通り歳の数くらいプロメアを映画館で観ることになるのですが……。長くなったのでそのあたりはまた気が向いたら書きます。

 

あとキルラキル一気見したりとか、ゲキシネで劇団新感線を初体験したりもしました。プロメアの影響力すごい。

 

ちなみに歳の数だけプロメア鑑賞、決して少なくはないけど、ツイッターの様子を見る限りプロメアオタクとしては特に驚くほど多いわけでもない。安室の女とか、マジLOVEキングダム国民とかもそれくらい同じ映画観てるでしょ、たぶん……とも思っている。

 

 

そんなプロメア、円盤(炎盤)だけでなくてオンライン配信レンタルも始まったらしいので、ぜひよろしくお願いします。

 

 

『プロメア』(完全生産限定版) [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/02/05
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応援上映どころか、普通の映画鑑賞さえままならない世の中だけど、また映画館で覚醒を歌ったり、「滅殺開墾ビーム!」を声を合わせて言ったりできる日が来ることを楽しみにしています。

 

 

おわり。