オタク魂を錬成した漫画が全話無料公開されてたので一気読みした話
これですよ。
「半妖の夜叉姫」放送決定記念!
— 【公式】サンデーうぇぶり編集部 (@SundayWebry) 2020年5月9日
5月15日まで
アプリ「サンデーうぇぶり」で
「犬夜叉」全話無料を緊急開催!
伝説の戦国草子をぜひ一気読み!https://t.co/bEAUHbVAWb#犬夜叉 #サンデーうぇぶり pic.twitter.com/YvyeyOuVCA
※無料公開は終了しています。
少し前の話になりますが、全部読みました。
このツイートが土曜日の昼間で、その日の昼休みにすぐ読み始めて、読み終わったのが火曜日の夜。4日間で56巻。今までTwitterやpixivやアイドルのブログを見ていた時間、そして先月買ったキーボードを弾くはずだった時間全て費やして、一気読み。こんな短期間で一つの作品を最初から最後まで、駆け抜けるように読んだのは生まれて初めてだったし、今後もそうそうやらないと思う。
2000年代にアニメをやっていた頃、犬夜叉にハマっていた。
当時観始めたきっかけはよく覚えてないが、最初に観たのが20巻の竜骨精のあたりだったことはなんとなく覚えている。たぶん近所の友達が観ていたから観るようになったんだと思う。
あんまり好きなテレビを観せてくれない家庭だったけど(私がテレビより本が好きであまり熱心に観たいと主張しなかっただけかも)、犬夜叉は数少ない、毎週観てもいい番組に入っていた。
セーラームーンもクレヨン王国もおジャ魔女どれみも好きだったけど、少年漫画原作のアニメをあんなに一生懸命観たのは犬夜叉が初めてだったと思う。
原作漫画も単行本で買っていた。お小遣いの少ない子供だったから、近所の友達と1巻ずつ交互に買っては貸しあっていた(そのせいで実家には歯抜け状態の犬夜叉の単行本がまだ眠っている)。
段ボールや新聞紙を使って犬夜叉の仲間たちの武器を作って遊んでいた。
鬼滅最終回の所感を書いた時にも触れたけれど、令和キッズたちにとっての鬼滅の刃と似た立ち位置に、私にとっての犬夜叉がいるんだと思う。令和キッズは全集中水の呼吸ごっこをして遊ぶらしいし。。。私も四魂のかけらの気配を感じるごっこをして遊んだし。。。
というか、初めて鬼滅のOP、あの紅蓮華の音楽に乗せて鬼殺の隊士たちが舞い踊る様子を観た時、「犬夜叉じゃん!!!」って思ったよね。なにがどう犬夜叉に似てるのかよくわかんないけど、あのOPは犬夜叉が刺さったのと同じところに刺さった。
話を戻そう。
ともあれ、私はゼロ年代のアニメ放送当時はただの犬夜叉が好きな小学生で、二次創作を嗜むタイプのおたくではなかった。と言うよりも、インターネットや書籍(同人誌やファン雑誌や書店に置いてある非公式アンソロ)で、ファンが勝手に創作した作品を観ることができるということを知らなかった。当時は当然Twitterもpixivもなかったし。
それでも子供心に「このふたり付き合えばいいのに」「付き合わないのかな?」と思うふたりはいた。ラブコメ要素も強いので、まあ子供がそう思うのもやむなしではあるんですが……。
でも私は先述のように二次創作作品なら「付き合ってるふたり」が見れるということを知らなかったので、それはもう原作のそのふたりのシーンを繰り返し繰り返し読んだ。
当時の私は「カップリング」という概念も言葉も知らなかったが、これが私の最初の「推しCP」の思い出だ。
全巻一気読みしたとき、このふたりへの「萌え」が何度も、猛烈に湧き上がってきた。もう十何年も前に読んでいたのに、このシーンだけは次の台詞がわかる。だって何度も読んだから。
子供の頃の集中力と記憶は恐ろしいもので、今は好きな漫画でもなかなか台詞を覚え込むまで読まないし、いっとき覚えていたとしても時間が経つと忘れてしまうことが多々あるのに、十年以上前に読んだ犬夜叉の台詞はまだ覚えている。ひとつひとつのエピソードは忘れてしまっているのに、このシーンのこの台詞だけは覚えている。そんな場面がいくつもあった。正直言うとその頃から立派にオタクだった自分にちょっと引いたし、ああこのシーンのこの感じ、今でも大好きだな……とか、今の性癖のルーツになったの、ここだな……とか思うものをまざまざと見せつけられて、謎の羞恥心が湧いた。
一方で、昔読んでいたときとは違う印象を持った部分もあった。例えば、当時純粋な子供だったわたしは死んでも尚犬夜叉に執着し続ける桔梗をあまり良く思っていなかった。しかし、大人になった今読んでみると、桔梗もなかなか人間らしい「愛」と「憎」を持っていて深いキャラクターだ。
それに、殺生丸がりんを連れ歩いていることも、その“良さ”も当時はよく分からなかったが(りんちゃんは可愛いなあとは思っていた)、あれも殺生丸がだんだん人間らしくなっていくところが良いなと思った。
たぶん、子供の頃のわたしは最初に示されたキャラクターのイメージをずっと抱き続けていて、そのイメージが好きとか嫌いとか言っていたのに対して、今のわたしはキャラクター同士の人間関係とか、その変化とかに惹かれるようになったんだと思う。
本来なら無料公開中に布教記事を書くとかなんとかしたかったんだけど、短い無料公開期間では読みたいところを何度も読むのに精一杯だった(子供の頃とやっていることが変わらない)し、それでも無料公開直後に記事を上げれたらよかったのに鬼滅が完結してそっちのショックが大きかったりして遅くなってしまった。
お蔵入りしようかと思ったけど、自分の「好き」のルーツにある漫画をここまで一気に読み返すこともなかなか貴重な体験なので、記録に残しておきます。
それと、この度一気読みして、これは手元に置いておきたい漫画だと思ったので大人買いを検討している。置く場所がないので本棚から買うことになりそうだけど、いつか必ず引っ越していくことになるこの部屋にこれ以上家具を増やすのか……と悩んでいます。
おわり。